プリーズ - 宣言 breeze The statement 2006
旗、鉄に塗装、送風機  風のはじまり
風が、記憶や想像力につながるスイッチになることがあるようだ。 吹き抜ける風が不意に頬をなでる時、かつて見た 風景や、その時の心情などが憶い出されることがあるからだ。

「蝶の羽ばたき効果」という言葉がある。ブラジルの蝶の羽ばた きがメキシコ湾でのハリケーンの発生に影響をあたえるかもしれ ないというのだ。とすると今頬をなでていった風も、いつしか僕 に影響をあたえるのかもしれない。
その風のはじまりは、流氷を超えたどり着いたトナカイのいな なきかもしれないし、カリブ海を吹き抜けてきた蝶の羽ばたき かもしれない。あるいは風など吹いておらず、日常の何気ない 記憶が脳の神経細胞と結合した時、その僅かな震えを風と錯覚 しただけかもしれない。
作品が、誰かの頬をなでる風のようなものであるとするならば、 もう暫くその「はじまり」と「ゆくえ」について考えてみたい と思う。


様ざまな場所を吹き抜ける風が、様ぎまな旗をはためかせている。その旗のもとアイデンティティーや象徴や権威が表明される一方で、しばしば抑圧や暴力が繰り返されてきた。 僕が掲げることができるのは、そのような権威とは無関係でありたいという旗。 できうるなら、常に「白紙からはじめる人」でありたいという宣言。
ただ、今のところその旗は人工の風に吹かれて、辛うじてはためいているのみなのだが。


写真撮影:studio-dot


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